組み分け帽子はなぜをグリフィンドールに組み分けたのか理解しがたい。それよりも毎週僕の貴重な時間を邪魔するとはいかんともしがたい。やめろ、と言えば嬉しそうにするし、 無視すればまた話しかけてくるし。この場所はポッター達も目を付けない僕だけの特等席だ。移動するなど考えられない。なのにこの女は懲りずに、僕につきまとってくる。なんて迷惑な話なんだ。
「今日はやけに機嫌が悪いのに、セブルス」
「・・・いつもだ」
「そうかしら、今日はすこぶる悪そうよ」
顔色も、と付け足す彼女はやけに背景の本棚が似合っていた。才色兼備とも謳われる彼女は僕の気持ちなど分かるはずがない。しかし今日機嫌が悪いのは本当のことだった。図書室で来る前に散々ブラックに追い回されてやっとのことで僕はこの図書室の僕だけの空間に辿りつけた。なのに、この女は。あっちへでもどっちでも行ってしまえ。
「うるさい、僕は読書中なんだ」
「知ってるわ。見てればわかるもの。」
好奇心たっぷりな目をくりくりと動かすは僕にとっては纏わりつく蠅より煩わしい。大体いったいこいつはなんの目的があって僕に纏わりつくんだ。知りたい気もするが、知りたくもない。僕からこいつなどに話しかけたくもない。
「あなたって本当に面白いのね、セブルス」
「・・・・・・」
「見てて飽きないわ」
それは明らかにこっちの台詞だった。たまに黙ってる時に顔をあげて彼女を見れば、微笑んでるし、窓の外を見て楽しそうにしていれば、机に突っ伏して居眠りしているし。今は僕を見て微笑んでいる。全く食えない女だ。何を考えているのかわからない、純血のくせにグリフィンドールに居つくおんな。
「セブルスは私はマグルだったらもっと構ってくれた?」
「穢れた血なんかと話などするか」
「だったら私、マグルだったらよかったなぁ」
一体なんだというのだ、この女は。

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