というのは大袈裟だが俺の右の拳は確実にヤツの鳩尾に入っていた。ぐふぉっとわざとらしい声を上げるヤツだがそんなことを俺は今気にするほどの余裕はない。ゴキゴキと脅すように間接を鳴らすと、ヤツはさすがにおふざけがすぎたのかと思ったのか分かった分かったと憤慨する俺を制止するために手をぶんぶんふるモーションを取った。しかしそれでこの丹田にたまった怒りが抑えられるわけがない。しかし今はヤツの話を聞かない限り収拾がつかないだなんて俺も分かっている。のでとりあえず未だに抑えられていない怒りを強調するかのように俺は目をギラギラと光らせてヤツを睨みつけた。




「分かった、全部言うから!お願いだから落ち着いてくれよ、相棒。」

「ああン?これが落ち着けずにいられってんだ!!」

「シリウス柄悪いよ・・・・・・」




こんなとこお前のファンに見せられやしないと嘆く親友を傍らにコイツはどこまで神経が図太いのかと思う。そんな一触即発の状態の俺に焦っているのか、ヤツは一気にまくしたてて説明しだした。




に飲ませたのはね、本当は三日用の超強力な惚れ薬でね!僕が調合したんだよ、あったりまえだろあんな成果を残す惚れ薬は僕ぐらいにしか作れないよ、けどね!僕の意思でに飲ませたわけじゃないんだよ!あれはね僕の愛しのエヴァンズに頼まれて『シリウスのことがずーっと好きな大事な大事な親友がいるんだけど、シリウスの毒牙にかかるのは私も頂けないけどこう何年も見てると不憫になっちゃって。せめてきっかけでも作ってあげてくれない?見返りは勿論、ああ付き合うのはなしね。でも本当にお願い、あなたしか頼める人がいないのよ!』だなんて潤んだ瞳で頼まれちゃぁ僕だって断れないさ!ああ断れない。それで話は戻るけど三日って言ったのはただのハッタリで君をまぁ・・・試したというか!まぁでもそれで君がを少しだけ気にかけてくれるようになったみたいだから僕ってやっぱり天才!まぁこのまま君がを好きになってくれれば僕としてもエヴァンズとしても万々歳なんだけど!」




そんな自負を交えながらのヤツの説明に唖然しながら俺はそこにたた立ち尽くした。すると、ええっと・・・・・・なんだって?要約すると・・・エヴァンズが俺のことを好きな親友のためにヤツに頼み込んでさんに俺と知り合うきっかけを作るために惚れ薬を飲ませたわけで、でもヤツはわざと俺に三日日間しか効かない惚れ薬を一週間と嘘吐いただと?じゃぁ、さんはただ、何にも知らない上でコイツの手のひらで俺と一緒に踊らされていたワケ・・・・・・・・?




「・・・・・・・ざけんじゃねぇ!!!!!」
「へ?」
「ざけんじゃねぇってんだよ・・・・・・ンだよ、お前が首領犯じゃねェか!!つーか惚れ薬以外になんかあんだろ、この眼鏡が、粉砕しやがれ!!!」
「まぁまぁシリウス落ち着いて。血圧高くなるよ?」




んん?と楽しむかのように俺を探るヤツがイラつく。ひじょーにイラつく!!しかしやけにニヤついてるコイツはなんなんだ。ったく一体俺はこの先どーすりゃいーんだよ!!!!




「どーすりゃいいかって?そりゃぁ、決まってるじゃないか。」




俺の考えてたことが口出てたんだがそれともこいつが開心術を使ったんだかぁわからねぇが、ヤツは言い放った。




に会いに行けば?」


































俺は走った。なんでか分からないけど、走らなければなれない気がしたんだ。バタバタと鳴る足音も今の俺には気にならない。俺の知り合いと得体の知れない女どもが横切るたびに俺に挨拶しようと声をかけるがそんなことも今の俺には関係がない。感じたことのないこの感覚。よく分からないが別に嫌いなわけでもない。どちらかというと       心地好い。




さん!!!!」




マダム・ポムフリーの騒がしいですよ!と厳しく咎める声も聞こえたが無視した。俺が待っていたものがそこにあったからだ。




「ブラックくん・・・・・・」






































うざったいと思ってた彼女の笑顔が、その時だけはきっと、眩しく見えた。