いくつも飛び交う視線はどれもこれも纏わり媚びてくるものだらけ。そんな現状にさんざん俺は溜息をつく。大広間でジェームズの待つ席へと向かう際にもうヒットポイント10は削られる。


「今日のメニューはっと、・・・ってジェームズ何でここにさんが?」

「ああシリウス、ちょっと色々あってね。あとでまた説明するよ、それに、ね?。」


さんはこくこくと小さく首を動かして頷くと未だ食べ物を前にして席を立っている俺を見上げた。さんがグリフィンドールだって事だけは知ってたけれどその他に知っている事と言えばその小さな身長と闇夜に溶けたような真っ黒も髪と目が東洋出だという事を物語っているという事だけだ。それに俺はこういう女を一番苦手としている。くりくりとした目は忙しなくて白いほっぺはりんご色を差している。自惚れじゃないんだけど、これが俺の対する女の子の反応なんだよなぁ。


「あ、うん。ブラックくん、よろしくね!」

「シリウスでいいよ。」

「・・・シリウスくん。」


えへへとさんは女の子らしくはにかむとその手を両頬に当てて子供みたいに嬉しそうにした。目の前にあるシェパードパイをつつきながら俺は目の前の顔見知りの女の子と何年来かの親友が仲良さげに談笑するのを眺める。大体ジェームズは何で女の子をここに連れてきたんだよ。たださえこういう女の子ってのはなぁ、気疲れするんだよ。でもジェームズはエヴァンズ一筋だから、そういう事に対して少し鈍感なところがあるからしようがない。さんがちらちらとこちらを時折見るのが分かったけど俺は対してその事について関心は払わない。ピーターもリーマスも今は罰則の真っ最中だからこんなにも退屈な夕飯時を救おうとも思えないだろう。ああ、どうしてジェームズはさんなんかを連れてきちゃったんだ。
突付かれてばかりで穴が所々に空いてしまったシェパードパイをフォークで突き刺し、ばらばらになった破片を口に頬張ると美味しいとも不味いとも言えない味が広がる。実は俺、あんまりシェパードパイが好きではない。グラスに注いでおいたオレンジジュースを一気に飲み干すとはっと目が覚めた気がした。席を立とうとするとジェームズとさんも俺に続いて立ち上がって大広間の入り口まで続く道のりを俺の後に続いて歩む。その時でさえジェームズとさんは愉快そうにくっちゃべっていてたまにきゃー!とかわー!とか悲鳴か感嘆の声か区別がつかない不可解な声を上げたりしている。
俺はげんなりと萎えた気分を立て直す事もなく気だるい足つきで動く階段を上っていく。足音と声が俺に着いて来ている。寮へと辿り着くと、俺は唯一談話室の中で気に入っている一人がけようのソファにダイブするようにもたれかかり行儀が悪いと分かりながらも足をテーブルへとかける。ジェームズはどうやらさんに「待ってて」と伝え、さんと俺を2人きりにして談話室に残した。別に俺はさんを面識があるわけでもないからそのままぼけーっと空を見つめる。さんが今の現状にそわそわしているのが窺えた。でも俺は無反応。ここで俺が何かをしたら負けなのだ。


「シリウスくん・・・?」

「ん?」


思わぬところで声かけられたので上半身を少し起こしながらさんの座るソファへと目を移す。彼女はどうにもそわそわしていて、何だか落ち着かない気配。しかしなぜだろう、こんな様子の人を俺はよく見る。それはどんな時だったけ。ああ、そういえばこういう時って     




































「あ、あたし、シリウスくんの事がっ好きなの!」

告白の時じゃなかったけ。