(熱い視線はわたしを痺れさせる。あぁ、頭がくらくらしているわ)


「今、わたしを見てたでしょ。」



「見てねぇよ。」



(顔を背ける仕草はあなたが嘘をつく証拠)



「嘘おっしゃい。あなた、嘘をつくのが下手なのね。」



「・・・どうしたらそんな自信持てるんだよ。」



(それはわたしがあなたを好きだからよ)



「だって熱い視線がシリウスから感じたもの。そんなにわたしの事が好き?」



「・・・・・好きだって言ったらどうする?」



(そんな事言われたら・・・わたしどうされちゃってもいいくらい)



「どうもこうも。あなたが好きなら、それで終わりよ。」



(そんな事微塵も思ってないくせに)



「俺は終わりにするつもりはないんだけど?」



「じゃぁ、『好き』以外に何かあるのかしら。」



「・・・あるよ。」



(あなたが好きって言うんなら、なぜか教えて)



「その『好き』という気持ち以外に何があるの?シリウス。」



「こういう気持ちだ。」



(彼はわたしの規定よりも短くしたスカートに隠れている太腿を緩慢な動きで指を一本ずつ、折りながら撫でる。あぁ、この甘美な動作にわたしはどうしようもないくらい)






堕ちてしまいそう
 Sirius.B













(彼はわたしを溶かしてしまう。あの熱のこもった視線は甘く、濃艶、そして)



「今、わたしを見てたでしょ。」



「見てないよ。」



(一瞬目を泳がすのをわたしは見逃さない)



「嘘おっしゃい。一瞬目が泳いだわよ。」



「何の事かなぁ。」



「誤魔化そうとしたって無駄よ。二度も嘘が通じるなんて思ってないわよね?最も一度目も通じてはないけれど。」



「君ってたいした自信家だよね。僕ぐらいの自信家だ。」



「あら、あなたほど傲慢な人ってそうそういないわよ?」



(意地を張ってないとあなたを落とせそうにないからよ)




「ジェームズはわたしの事好きなんでしょう。」



「違うよ、『好き』じゃない。何でそんな根拠があるのかな。」



(鎧はどんどん剥がされてく、わたしは今にも崩れそう)



「だって、わたしを見る視線がわたしの事気になるって、訴えてたわよ。」



「違うんだなぁ。僕はそんなわけで君を見てたわけじゃないんだよ。」



(髪をくしゃりくしゃする癖は彼をより一層熱っぽく見せる)



「じゃぁ何で見てたの?」



「当ててごらん。一度だけならチャンスをあげるよ。合ってたらちゃんと答えてあげるからさ。」



「・・・わたしが綺麗だから見てたとか?」



「うわぁ、凄い自意識過剰。でも残念でした。ハズレです。」



(じゃぁ何よ。もう、これ以上わたしをぼろぼろにしないで)



「僕は君を『好き』じゃない。」



「・・・・・・」

(彼はそう言うとどんどん近づいてきて、わたしの唇に彼のを強く押し付ける。長い時を経て、深い口付けから離れた)



「君を『愛してる』から見てたんだよ。」



「結局、わたしが綺麗だからなんじゃない?」



「やっぱり君って、自意識過剰。いや、君の場合は過剰じゃないかもしれないな。」



(そう納得したジェームズはわたしのシャツのしたからするりと手を差し込み、わたしの肌にそれを這わせた。再び見つめられたそのハシバミ色に揺らめく炎はそう、)






彼はわたしの檻
 James.P











(優しい眼差しに隠れる密かな冷たさはわたしを大いに惹きつけるの)



「今、わたしを見てたでしょ。」



「さぁね。」



(鳶色の髪をかきあげる仕草さえ愛しいの)



「あら、さっき視線があってそれを逸らしたのはどこの誰かしら?」



「さぁね、僕は知らないよ。」



(あなたの口が開くのはいつも嘘っぱちだけ)



「リーマスはわたしの事が好きなんでしょう。」



「何でそう思うの?」



「だって、あなたからいつも視線を感じるもの。好きって事よ、それは。」



「君をいつも見ているからって、好きなわけじゃない人もいるかもしれないよ?」



(そうやってあなたの舌で巧みに操る言葉でさえ甘美な響きに聞こえてしまう)



「もっと、こう君がいつも座る席を把握しておいてそこから君の横顔を盗み見るとか」



「君が呼び出された場所で見つからないように待ち伏せしたりとか」



「え・・・」



「もっと、執念深く入り込んでなきゃ『好き』とは言えないよ?」



(彼はそう言ってわたしの手を取る。齧りるくように指にその何もかも操る舌でなぞり始めた)



「君の目。君の肌。髪の一本、一本。産毛でさえ」



「僕は好きなんだから、さ?」



(そのままリーマスはわたしを引き寄せて唇にその舌を滑り込ませる。唾液が零れ落ちるほど、 彼の密かな冷ややかさから想像できない激しさ。そんな彼の体温に逆にわたしの心は)






凍てつかれてしまった
 Remus.J.L