May you eat the poisoned apple. (Regulus Black) はまたに部屋から追い出された、と機嫌悪そうに俺の部屋へと訪れた。きっとさんの部屋には兄さんがいるのだろう。あの2人がとっくにそういう関係を持っていることだって、は気づいているはずなのにいつもいつもこうやって文句垂れて僕の部屋にやってくる。双子だからと言ってシスコン気味のはいい加減姉離れしないのだろうか。 「大体シリウスはいやらしいのよ!お姉さまにいつでもべったべたしちゃって」 「も満更じゃないって感じだけどなぁ」 「お姉さまにつく虫はみんな害虫なの!レギュラス、あなただってそうよ」 フン、とはお高くとまったように鼻を鳴らすとツンとして僕の方から顔を背けた。可愛くない奴だ。すました顔をしていれば似た様な顔のパーツを持つ双子の姉と違って美人、よりも可愛いとの言葉が似合う彼女はとても愛らしい顔をしているのに。 「あーあ、やんなっちゃう。どうあがいたってお姉さまとシリウスは結婚しちゃうし、私はレギュラスと結婚しなきゃいけないし」 「それだったら母さんにちゃんと嫌だって言えばいいじゃないか」 「やーよ、叔母様に逆らったりなんかしたりしたらお母様になんて言われるか!・・・でも、なんでよりによってレギュラス!」 は自分の母親を想像しただけで反吐が出る、という顔をした。確かにとの母親は厳格で、純血主義にしっかりと基づいた考え方の人だ。品が良く、愛想も良い人だが夫のいない今、愛人に費やす愛情の方が娘たちより多く、僕達の屋敷に彼女達が住んでいるのだって母親に厄介払いされたのに過ぎない。哀れだとは思うけど、今の言葉は少し癪に障った。 「そんなに僕と結婚するのが嫌?」 「嫌よ!そんな決められた結婚なんてロマンスも何もないもの」 ふぅ、と夢見る乙女です、とでも言いたげ溜息をつきうっとりと窓辺を見つめるに僕は苛立った。そんなに僕が嫌なのか。決められた結婚ならロマンスがない?だったらいっそ、 「ロマンスがあれば結婚するんだ?」 「そうね、それだったら考えてもいいかも」 僕のベッドでもお構いなし、と表明しているかのようにごろごろと寛いでいるに僕は動きを封じるように覆いかぶさった。はびくり、と肩を震わせて僕を見上げる。そう、そう。そうしていれば本当に愛らしいこの上ないのに。 「な、なによ・・・」 「ロマンスさえあれば結婚、考えてもいいんだろう?」 僕はなぜか意地悪な気分になった。いつもいつもにいいように言いくるめられてる僕じゃないんだよ。僕だって男さ。そう言うとは顔をまっかっかに染め上げて、僕の落とした口付けに目をぱちくりとさせている。 「君さえ僕を好きになればロマンスだろ?」 口付けし終えて不敵に笑みを浮かべるとは大人しくコクリ、と頷いた。もう一度、額に優しくキスをすると僕はそれ以上自分には何かできる勇気も度量もないと知ってそっとの傍を離れる。すぐにまたとやかく言われると、覚悟を決めたのにはすっかり黙り込んでしまった。キスを落として後にゆっくり目覚めるように起き上がったに、僕は白雪姫を口付けで起こすような王子の気分のような錯覚に、この白い頬を林檎のように染めたを見て陥ってしまった。 |